今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。この機会に、県がこの制度を通して目指していることや、本来、消費者が住まい選びの際に知っておくべき、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなどについて、シリーズでお届けする。

住宅の省エネ性能向上には、大きく2つのアプローチがある。1つは住宅の躯体性能を「高断熱・高気密化」して冷暖房に使うエネルギーを減らす方法。もう1つは、太陽光発電等の設備機器による「スマートハウス化」だ。「スマートハウス」とは、太陽光発電だけでなく電力会社や蓄電池の電力などのエネルギーを機器により最適制御して“賢く(スマート)”使う住宅のことを言う。

さて、標準的な家の仕様に、例えば200万円上乗せして省エネ性能を向上させる場合、「高断熱・高気密化」と「スマートハウス化」ならばどちらを選択すべきだろうか?日本エネルギーパス協会の今泉太爾代表理事によると、まずしっかりと「高断熱・高気密化」を図り、余裕があれば「スマートハウス化」するのが正しい順番だという。理由は3つある。第1に、「高断熱・高気密化」した性能は、多少の劣化はあっても基本的には住宅の耐用年数の間持続する。それに対して設備は15年程度で更新時期を迎えてしまう。第2に、「高断熱・高気密化」は、後からリフォームでやると新築時の増額分の何倍もの費用がかかる。一方、太陽光パネルは年々廉価になっているなど、設備機器は後から導入しても躯体に比べて費用の増額は小さい。そして第3に、「高断熱・高気密化」は、健康にもよく、室内の温度差の少ない快適な暮らしにもつながる。つまり省エネ以外のメリットも大きいのだ。

住まいの断熱性能は、国が定める省エネ基準レベルでは十分ではないことは以前触れたとおりだ。図は、東京大学の前真之准教授による消費者が新築する際にこだわる性能の項目に関する調査結果だ。計画段階では室内温熱環境(主に断熱性能)にこだわる人は少ないが、引っ越した後にそれを不満足項目としてあげる人が多いという。後悔しない住まいづくりのためには、できれば国の基準を超える断熱性能を確保したいものだ。その上で余裕があれば、ぜひスマートハウス化も検討したい。

計画時と竣工時の住宅性能の重視項目の変化_第11回
次回は、高断熱化とともに重要な気密性能について考えたい。

長野県-北信・東信で自然エネルギー利用パッシブハウス、W断熱-Q1.0省エネ・低燃費住宅の新築、リフォーム     山本建設株式会社