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2015/08/21

ECO

エネパスコラム第21回

今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。県がこの制度を通して目指していることや、本来、消費者が住まい選びの際に知っておくべき、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなどについてお伝えしてきたこの連載もいよいよ最終回となった。

さて前回、2020年までに戸建て住宅を含むすべての新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合が義務化されることになっており、今年7月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が成立したことを説明した。

そして、今回の新法でもう一つ注目される点が、建築物の所有者は、新築・既築、住宅・非住宅を問わず、省エネ基準に適合していることの認定を受けることができるようになり、それを示す基準適合マークが創設されるという点だ。

国土交通省としては、この適合マークが不動産の広告等で表示することが一般化することにより、省エネ基準に適合している住宅・建築物が不動産市場で高く評価される市場環境が形成され、それらの建築物の資産価値向上が図られることを企図しているのだ。

さらにこの新法の第7条で、「建築物の販売・賃貸を行う事業者は、その販売又は賃貸を行う建築物について、省エネ性能を表示するように努めなければならない。」と定めている。国土交通省は、今後、この表示に関するガイドラインを策定する予定だが、この販売・賃貸事業者に課される表示の努力義務は、新築・既存も問わず、そして基準に適合しない建築物も対象になるという。長野県の「建築物環境エネルギー性能検討制度」では、300㎡以上の新築の住宅・建築物に対して環境エネルギー性能の掲示努力義務を建築主に課している。この国の新たな表示努力義務は、既存の住宅・建築物も対象にしている点で、さらに大きく踏み込んだと言える。

EU加盟国では、建物のエネルギー性能に関する欧州指令により、不動産取引時に省エネルギー性能の提示が義務付けられている。また新築よりも中古住宅の流通が多いこともあり、住宅の建物自体の価値がきちんと評価される傾向にある。EU加盟国では、不動産広告の最も目立つところに、その住宅の燃費性能が表示されていることは以前触れたとおりだ。図は、英国の省エネルギー性能表示の例だ。
イギリスの省エネ性能表示の例_第21回
一方の日本の状況だが、住宅等の不動産の価格に詳しい不動産鑑定機関である一般財団法人日本不動産研究所の内田輝明主席専門役によると、住宅自体の価値は築後何年かするとほとんど評価されなくなってしまい、ほぼ土地の価値のみで価格が決められるのが現状では一般的だという。

しかし、国もストック型の社会への移行を目指しており、住宅自体の価値が評価される住宅市場の形成を目指している。今回の表示の努力義務化もその一環と言えるだろう。長期優良住宅の普及など、住宅の性能自体も向上していることから、徐々に住宅自体の価値が売買価格に反映されるようになっていくだろう。

内田氏によると、今後、この表示制度が普及し、不動産売買時に省エネ性能・環境エネルギー性能を意識する傾向が強まれば、早晩、不動産鑑定価格にも反映される可能性が高いそうだ。2020年までに戸建て住宅の省エネ基準適合義務化が始まるが、適合義務化以降は、適合の有無が価格に影響を及ぼすようになる可能性が高い。将来に向けて、資産価値を保つためには、住宅性能に係る第三者評価を得ておくことも大切だろう。

以上、21回に渡り、これからの住まいづくりにおいて、『燃費性能』と『健康性能』という視点が非常に大切であることをお伝えしてきた。長野県の「建築物環境エネルギー性能検討制度」は、そういう意味で全国の先駆けとなる素晴らしい取り組みだ。これから住まいづくりを始める方々には、ぜひこの制度を十分に活用して、満足いく住まいを手に入れていただくことを期待したい。

長野県-北信・東信で自然エネルギー利用パッシブハウス、W断熱-Q1.0省エネ・低燃費住宅の新築、リフォーム     山本建設株式会社

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