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2015/05/28

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エネパスコラム第5回

今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。この機会に、県がこの制度を通して目指していることや、本来、消費者が住まい選びの際に知っておくべき、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなどについて、シリーズでお届けする。

前回まで、住まいの断熱性能の大切さについて説明してきた。しかし一方で、兼好法師は徒然草に「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」と書き残している。現代でもこの言葉を基に、「夏を旨とする」住まいづくりにこだわっている住宅事業者は少なくない。今回は、このことについて考えてみたい。

さて、兼好法師時代のデータは残っていないが、図のように厚生労働省人口動態統計によると、1910年頃は夏に亡くなる方の割合が高かった。これが徐々に夏冬が逆転し、1970年には圧倒的に冬に亡くなる方の割合が高くなっている。

月別死亡率の変遷_第5回

近畿大学建築学部長の岩前篤教授によると、昔は冷蔵庫などが普及していなかったため、夏には食中毒で亡くなる方が多かったと考えられるという。それが改善されていくのに伴って、相対的に冬に亡くなる方の割合が徐々に高くなり、このように季節間の死亡率が変化してきているという。冬には、浴室内での溺死など、室内の温度差が原因となるヒートショックによるものと思われる死者数が夏期にくらべて大幅に増加しており、これが冬期の死者数割合を押し上げているものとみられる。

ところが岩前教授によると、カナダやスウェーデンなどの寒冷地の先進国では、このような季節間で死亡率の変化はあまり見られないそうだ。我が国の冬期の死者数が多いのは、四季の気候変化が大きいことも要因かもしれないが、それ以上に、「夏を旨」として冬を重視してこなかった我が国の住まいづくりに起因しているとも考えられるのだ。

「信州の健康・省エネ住宅を推進する会」会長の高木直樹信州大学工学部教授によると、英国の健康省は、冬の室内の健康な温度は、21℃と定めているという。さらに16℃だと呼吸器障害・心疾患など深刻なリスクが現れる温度、10℃だと高齢者に低体温症が現れる温度としているそうだ。

高木教授は、健康で長生きするためには生活習慣病の予防だけではなく、住まいの温度環境を適切に保つ習慣も大切だと説く。寿命の伸びとあわせて、医療・介護費が増加し、国の財政を圧迫している中で、自宅で元気に暮らしていける住まいを広めていくことが重要だという。

これからは、「冬を旨とする」健康な住まいづくりを真剣に考えていきたいものだ。次回は、長野県「建築物環境エネルギー性能検討制度」と対をなす制度である「自然エネルギー導入検討制度」について説明したい。

長野県-北信・東信で自然エネルギー利用パッシブハウス、W断熱-Q1.0省エネ・低燃費住宅の新築、リフォーム     山本建設株式会社
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