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2015/05/20

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エネパスコラム第2回

今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。この機会に、この制度を通して県が目指していることや、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなど、本来消費者が住まい選びの際に知っておくべき情報をシリーズでお届けする。

今回は、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりの1回目として、「ヒートショック」について触れたい。ヒートショックとは、一般的には住宅内の急激な温度変化により身体が受ける影響のことを指す。暖かいリビングから寒い浴室、脱衣室、トイレなど、温度差の大きいところへ移動すると、身体が温度変化にさらされて血圧が急変するため、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすおそれがあるのだ。

欧米では、住宅内の低温が健康に悪いことは常識になっており、厳しい規制が導入されている。例えば米国の北東部の多くの州では、賃貸住宅の所有者には、居住に使用される屋内の全ての部分について、一定以上の温度が維持できるようにすることが義務付けられている。また英国では、賃貸住宅の所有者への要求が段階的に厳しくなっており、2018年には省エネ等級が一定ランク以下の住宅の賃貸が禁止されるという。

(図)温度差イメージ_第2回

一方で、我が国の対応は遅れているようだ。この分野の専門家である近畿大学建築学部長の岩前篤教授によると、東京23区のデータだが、室内の温度差が原因とみられる入浴中の死者数は、交通事故死の6倍にものぼるという。特に外気温の低い長野県内では、健康寿命を延ばし、健康な生活を維持するという観点から、より建物内の低温を排除することが重要だという。

また、東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、入浴中の心肺停止状態発生率の都道府県別ランキングでは、長野県は14位と比較的発生率が高くなっている。また興味深いのは、発生率上位の都道府県は、1位から順に香川県、兵庫県、滋賀県となっており、比較的温暖な地域が要注意なのだ。一方で、北海道は46位、青森県は44位となっており、寒くても高断熱住宅が普及している地域では発生率が低くなっている。つまり住宅の断熱性能を高めることで、ヒートショックリスクを軽減できるのだ。これから住宅を新築する際には、住宅内に温度差を生じさせないように断熱性能を高めることを意識したい。

一方、古い住宅に住んでいる方々にも対策方法はある。最も良いのは、リビングや寝室だけでなく、脱衣所や浴室、トイレまで含めた断熱リフォームを行うことだ。現在、省エネ住宅に関するポイント制度の受付が始まっており、最大30万ポイントがもらえる。予算が消化され次第終了するので、この機会に早めにリフォームを考えるのもよいだろう。

断熱リフォームが難しい場合の対応策としては、入浴前にシャワーを使って浴室全体を暖めることや、夕食前・日没前の外気温が比較的暖かいうちに入浴を済ませることも防止策になるという。ヒートショックは、死まで至らなくても、半身不随などの重い後遺症をもたらす可能性も高い。健康寿命を延ばすためにも、ぜひ注意したいところだ。

次回は、断熱性能とアレルギー等の症状との関係性について触れる予定だ。

長野県-北信・東信で自然エネルギー利用パッシブハウス、W断熱-Q1.0省エネ・低燃費住宅の新築、リフォーム     山本建設株式会社
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