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2015/07/31

ECO

エネパスコラム第17回

今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。前回、この制度の指定評価ツールのひとつであるエネルギーパスを活用すれば、一般の人でも住宅価格と燃費性能とのバランスを見ながら住まいづくりが進められることを紹介した。今回は、そのエネルギーパスの評価を活用した「日射遮蔽」と「日射取得」の計画について説明したい。

一般社団法人日本エネルギーパス協会理事の晝場貴之氏によると、住まいの快適性能や省エネ性能を高めるためのアプローチとして、「パッシブデザイン」と「アクティブデザイン」という2つの考え方があるという。「パッシブデザイン」とは、太陽光や風など、自然の力を最大限に利用して快適性を確保する手法だ。設備による手法である「アクティブデザイン」よりも「パッシブデザイン」のアプローチを優先すべきなのは以前説明した通りだ。そしてその重要な要素に、太陽の日射熱の利用がある。つまり日射によるエネルギーを上手にコントロールすることが、冬暖かく、夏涼しい住まい作りへのカギになるという。

夏と冬の太陽高度差_第17回図2

長野等の寒い地域では、特に冬に積極的に日射を取り込むことが暖房費削減にも有効であり、南面の窓は、冬に積極的に日射取得するように計画することが重要だ。

一方で夏の日射遮蔽に関しては、基本的には窓ガラスよりもその外側で行うようにしたい。よしずやシェードなどで遮蔽することも有効だが、新築ならば夏と冬の太陽高度差を利用した、庇や軒の出を計画的に設けるべきだ。最近は、デザインやコスト優先で庇のない家が多いが、日射遮蔽を考えないと夏がとても暑い家になる。また、カーテンなど、家の内側での日射遮蔽は、太陽の熱が内部に入るために、外側での遮蔽に比べると効果は大幅に少ないことも知っておきたい。

そして、日射取得・遮蔽を適切にコントロールした住宅計画かどうかを把握するのにエネルギーパスが有効だ。エネルギーパスでは、下図のように月ごとの日射取得熱量も評価される。左側は、夏に取得が多く、冬に少ない家の場合だ。右側は、逆に夏にきちんと日射を遮蔽して取得が少なく、冬に取得が多い家だ。もちろん、右側のように「V字型」になる方が快適な家になる。住宅の計画時には、エネルギーパスのこの図をチェックしながら、日射をきちんとコントロールした家づくりを進めてほしい。

エネルギーパスによる日射取得熱量_第17回図1

次回は、断熱性能の優れた家は体感温度もアップすることについて説明したい。

長野県-北信・東信で自然エネルギー利用パッシブハウス、W断熱-Q1.0省エネ・低燃費住宅の新築、リフォーム     山本建設株式会社

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